テルモ、アフリカで実施した研究に関するお知らせ 分娩後出血における医療環境の改善とその経済効果に関する分析を発表

2021年8月23日

 テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)の米国子会社のTerumo BCT, Inc. (以下、テルモBCT、所在地:米国コロラド州)が実施した研究結果が、729日に学術論文誌である「Africa Sanguine」に掲載されたことをお知らせします。テルモBCTはこれまで、アフリカで適切、安全、かつ持続可能な血液供給の重要性を提唱する活動を官民連携で進めてきました。本研究もその取り組みの一つで、輸血医療に関わっている臨床医や医療経済学の専門家と共に研究を行いました。このたびの研究は、サブサハラアフリカ地域*1の医療環境と経済効果について分析した大規模研究としては初めてのものです。

 世界保健機関によると、世界中で毎日810人(年間295,000人)の女性が、妊娠と出産に関連する合併症で死亡しています。これらの死亡数のうち、94%は医療環境が整っていない環境で発生し、サブサハラアフリカ地域がその約3分の2を占めています。特に、サブサハラアフリカ地域の妊産婦死亡の44%が分娩後の出血過多が原因です。分娩後出血は、輸血など適切な治療を行うことで予防可能な合併症である一方で、サブサハラアフリカ地域では、血液製剤の需要は供給を上回る状況です*2

 今回の研究では、ケニア、ガーナ、コートジボワールの分娩後出血を対象に、輸血用血液製剤不足を改善することで得られる経済的効果を分析しています。安定的な血液供給を行うための既存の取り組みに加え、安全な血液供給へのさらなる投資拡大の必要性を示しています。投資の成果として、2年以内に3か国とも大幅な社会的・経済的コスト削減をもたらすことを結論付けています*3

【妊産婦の出血を適切に管理するための投資コストと、重度の分娩後出血に関連するコストの比較検証】

  • ● 輸血によって救えたはずの分娩後出血死の症例数は年間で、ケニア:8,503人、ガーナ:3,902人、コートジボワール:3,618
  • ● そのような命が救えた場合の経済的価値は、年間推定約5,700万米ドルと試算
  • ● 適切な血液製剤を供給するために必要な投資総額は、約3,370万米ドルと試算(患者1人あたり血液製剤13単位と計算)
  • ● 上記試算から、分娩後出血治療に使用できる血液製剤を確保することで、救われる命が増え、約2,300万米ドルの費用抑制効果が見込まれる
  • ● さらにケニアとガーナでは1年目から、コートジボワールでは2年目から経済的効果を得られると分析
  • ● 結論として、ケニア、ガーナ、コートジボワールにおいて、輸血により救われる命の経済的価値は、輸血用血液製剤の安定供給に必要な投資コストを上回る

     このたびの研究結果について、テルモBCT社長のAntoinette Gawin(アントワネット・ギャヴィン)は、「血液の安定供給は社会全体として重大な医療課題です。血液供給への投資拡充は、女性に力を与え、不平等を減らし、より生産性の高い労働力を育むでしょう。私たちは、これからも国連の持続可能な開発目標の一つである、世界の妊産婦死亡率を減らすことを支援するために、我々の専門知識や資源を提供し、貢献してまいります」とコメントしています。

     安定的な血液供給が懸念される理由は多くあり、整備された血液供給システムの欠如、献血プログラムの少なさ、特に農村地域での医療アクセスの制限などがあります。これらの背景から、テルモBCTは、このような研究を通じ、安全で持続的な輸血環境の整備に努めてまいります。


*1 サハラ砂漠より南のアフリカ諸国が含まれる地域

*2 World Health Organization. Maternal mortality fact sheet. Published 19 September 2019. Accessed 22 July 2021. (https://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/maternal-mortality)

*3 Owusu-Ofori S. et al. Health economic value of blood in Kenya, Ghana and Ivory Coast: the case of maternal bleeding. Africa Sanguine. 2021;23(1)1-13. (https://www.ajol.info/index.php/asan/article/view/210878)

テルモBCT概要

 テルモBCTは、テルモの血液・細胞テクノロジーカンパニー(Terumo Blood and Cell Technologies)の事業会社として、血液と細胞を採取、分離、処理する製品およびサービスをグローバルに展開しています。www.terumobct.com

テルモBCTのアフリカでの取り組み

 テルモBCTは、次の4つの戦略に基づき、アフリカで適切、安全、かつ持続可能な血液供給を提唱することに取り組んでいます。

  •  ● 適切、安全、持続可能な血液供給の重要性を啓発する活動への参画
  •  ● 献血の促進や、安定した献血者を確保するためのプログラム開発の支援
  •  ● アフリカに特化した血液関連の研究の実施および推進
  •  ● 強固な規制・政策枠組みを備えた効果的な血液供給システムの構築

  • <これまでの取り組み>

  •  ● 国際協力機構(JICA)と共に、ガーナでの輸血感染対策普及促進事業の構築
  •  ● 2019年の第74回国連総会で「開発のためのアフリカ大統領夫人組織」(OAFLAD)と共催で、アフリカにおける輸血の重要性に関する討論会を開催
  •  ● 2020年11月に、安全で持続可能な血液供給を目指す官民連携のイニシアチブ、「CoBACoalition of Blood for Africa)」を発足。
  •  ● 2020年に、Global Blood Fundとガーナ大統領夫人と共に、献血の重要性を啓発
  •  ● ケニア国家輸血サービス(KNBTS)と連携して、献血者を増やすための人材育成プログラムを実施

テルモ概要

テルモは、「医療を通じて社会に貢献する」という理念を掲げ、100年の歴史を持つ、日本発の医療機器メーカーです。世界160以上の国と地域で事業を展開し、25,000人以上のアソシエイト(社員)が革新的なソリューションを届けるために日々働いています。

国産体温計の製造に始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。

テルモは、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。

プレスリリースは、当社情報をステークホルダーの皆様へ公平かつ適切なタイミングでお知らせするためのものです。文中に含まれる製品情報(開発中のものを含む)は、顧客誘引や医学的アドバイスを目的とするものではありません。
また、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。さまざまな要因により、実際の業績等が変動する可能性があることをご承知おきください。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、テルモの事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがあります。

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